翌日、閑散としたウラジオストクの街を散歩した。
自分は特にする事がなくパンをかじりながら街を歩いた。
ロシア美女を抱きたい一心でここに着たが、
気づけばロシア美女の彼女が欲しいにシフトチェンジしている事に気がつく。
童貞気質がまだ強いのかなと考えたが初めてのロシア美女にあんな尽くされたら誰でも惚れる。
夕方になり街に学生っぽい連中が溜まり始めていた。
地べたに座り話し込む姿は日本に似ている。
飲み屋が開き始めたので時間つぶしに入る事に。
中に入ると若者達が集まっていた。
昨日教わったロシア語を駆使してなんとか飲み物を頼む事に成功。
少しずつの飲みながら観察していると男は男同士、女は女同士で飲んでいる事に気がつく。
そして女同士で飲んでいる所を男が突撃している。
声は聞こえるがもちろんロシア語なので何を言っているのか解らない。
暫くその様子を見ていると一人の女性から声をかけられた。
本気のロシア語をぺらぺら話され慌てていると笑いながら離れて行った。
一体なんだったのだろうか……。
ロシア語を勉強しておけば良かったと悔んだ。
そんな事が30分おきにあったがロシア語がはなせないとわかると皆席を離れて行った。
もったいない事をした。
それから3時間ぐらいいただろうか、自分はエリヴィラと約束した店へと向かった。
少し緊張気味に店のドアを開けたが中にはエリヴィラは居なかった。
昨日と同じ席に座り待つ事に。
しかし、1時間、2時間と時間が過ぎていく。
何度か電話をかけたがロシア語の音声ガイドが流れるだけであった。
酒を飲み過ぎたらしく少しふらふらになっていたら一人の女性が声をかけて来た。
「一人ですか?」英語だった。
女性の名前は「リナ」エリヴィラと同じようなロシアン美女だった。
「人を待っているけど来ない」と話すと
「じゃあその人が来るまで相手する」と言ってくれた。
自分は酔っぱらっていたせいかエリヴィラに惚れている事をリナに話した。
「日本人に好かれるってその子はラッキー。うらやましい」そう言った。
その日はエリヴィラは店に現れなかった。
ホテルに戻ろうとするとリナが「70ドルでどう?」と言って来た。
正直エリヴィラが来なかった事に凄くへこんでいた自分には渡りに船だった。
「ok」と伝えホテル名と部屋番号をリナに伝えた。
部屋に戻ってから30分程過ぎた頃にドアをたたく音がする。
開けるとリナが立っていた。正直ドアに立っているのがエリヴィラだったらと考えてしまう。
リナもエリヴィラと同様尽くしてくれる女性だった。
本当に尽くしてくれた。
しかし、尽くせば尽くす程脳裏にエリヴィラが過る。
結局最後までリナをエリヴィラと重ねてしまっていた。
朝まで一緒に居てくれたリナには本当に申し訳ない事をした。
「またね」と言い残しリナは出て行った。
朝食を食べながらまたエリヴィラに電話をかけたがやはりつながる事は無かった。